穴の空いたくつした

ポケモン擬人化企画用のブログ。

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ツイッターお題

忍者ブログって何か月放置したら広告出るんだっけ。

セイランは「私は、弱虫だもの」「私は量産型のスペアにすぎませんから、いくらでも代えが効きます」
というセリフの入った話をRTされたら書いてください。

ということで書いたよ。
自宅モブっ子でます。ご注意ください。

都心部から少し外れ、閑散とした地域にぽつんと立っているお店。
少し古風な、作業小屋という言葉がぴったりくる見た目をしている。
だがそこで扱っているのは、精密なサイボーグにも使われるパーツだった。

「あらら、これはまた派手にやりましたね」

工房に勤める技師、キアン。
親しい顧客から差し出された腕を見て声を上げた。
銀色の義肢は随分ぼろぼろになり、動かすのにも一苦労しているようだった。

「いつもすまんのう……。わざとじゃないんじゃ」
「構いませんよ、お客さんの頼みは受けるのが仕事ですから。
ただ、最近メンテナンスの頻度が増えてますよね？」

子供ながらトップチームに所属するセイランは、戦闘の激しさも頻度も多い。
それは一般人であるキアンも当然知っている。
だが、ここ数週間ほどで工房を訪れることが増えていた。
いずれも軽い損傷だったためにすぐ修理できたのだが……

「うむ、相棒や皆に負けまいとあっちこっちで戦っておったからのう」
「そんなところだろうと思いましたよ。
何度もお話している通りですが、無茶な使い方をすれば当然壊れやすくなります」
「わかっておるが、もっと頑張らないと負けてしまうのじゃ。
わらわは弱虫だからのう」

どこまで責任を感じているのかは分からないが、
彼女なりに反省はしているのだろう。
それに、こちらだって最近の傾向を見て何の対策も立てないほど馬鹿でもない。

「心配はいりませんよ、こんなこともあろうかとちゃーんと準備済みです」

そういうとカウンターを回り、奥に案内した。

「何かあった時のためにスペアを作っておきました。ほら」

そういって棚から取り出したのは、全く同じ義肢だった。

***

奥は作りかけの機械や工具が散らばり、
そう広くない工房内を一層狭く見せている。
普段は顧客を招き入れるような真似はしないが、
彼女のように複雑な作業を必要とする客は例外だった。

いつものように作業台の傍らに座らせ、スペアの腕を取り付ける。

「それにしても、スペアといったか……？なかなか便利なものじゃのう」
「ありあわせの量産型で作ったので、強度は少々劣ります」
「すぐ代わりが出てくるんじゃからのう。なんだか、わらわと似ているのう」
「よっぽど大規模な戦闘にならない限りは持つはずですが……、はい？

思わず手を止めて顔を見る。
セイランは相変わらず、無邪気で曇りのない笑顔で続けた。

「トップチームの座を狙う奴らなどいくらでもおる。
その点、わらわも量産型のスペアにすぎんのじゃ。いくらでも代えは効くからのう」

明るく悩みのない顔とは裏腹に、珍しく弱気な言葉だった。
彼女に限って言えば、表情と言葉がかみ合わないことは多い。
だからそこまで気にせず、当たり障りのない相槌を打った。

「機械と人間は違います。それに、義肢のパーツだって作るのに時間がかかるんですよ」
「そうなのか？随分簡単に作っているように見えるぞ？」
「そりゃ、多少は慣れてますからね。見えないところでは試行錯誤してます」

貴方だってそうでしょう、と心の中で続けた。
見えている部分でも、身体の半分近くと感情を捨てている娘だ。
きっと見えないところでは、もっと苦労しているのだろう。

顧客の詮索はいけないと思い直し、作業に集中する。
セイランは相変わらず楽しげな笑顔で、工房内を見回している。

彼女と最初に出会ったのは、戦争に参加する少し前だった。
事故で失った身体を補えないか、というよくある相談。
あの時の、きっとこれからも長い付き合いになるだろう、という直感は
今のところ確かに当たっている。

SSって難しい。
キアンさんはセイランの付箋下に貼ってるモブ技師です。

書きたかったこと：
・診断で出た台詞
・セイランが若干ながら嫌な感情を持ち始めてる描写
・一時的に義肢の強度が脆くなってる、という伏線