忍者ブログ

穴の空いたくつした

ポケモン擬人化企画用のブログ。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

闇堕ちの話

シイナが闇落ちしたときの話。少し過去設定絡みます。
また緩めですが痛い描写が混じってます。ご注意ください。

NPCキャラクター借りてます。


痛い。熱い。
口を開けるとまだ喉の奥が焼けるような錯覚を起こす。
こんなに酷い状態で、どうしてまだ生きているんだろう。

あれから何日経ったんだろう。
まだ数時間かもしれない、あるいはもう何週間も過ぎていて
あいつはとっくに退院したのかもしれない。
目の前で揺らめく赤色越しに、あいつが真っ先に逃げるのがはっきりと見えた。
後ろ姿もわめく声も一生忘れない。
努力して耐えてきた俺は報われず、傲慢で自分勝手なあいつは楽して生き続ける。
許せない。でも、今はどうにもできない。

相変わらず痛みは激しく動けないほどだったが、ゆるやかに眠気がやってきた。
眠ることで少しでも現実から逃げられるのなら、と目を閉じた。
***
次に目が覚めると、真っ暗な中に立っていた。
自分の姿も見えないから、はたして本当に立っているのかどうかも定かではない。
不思議と痛みや苦しさはなかった。

「おい、そこのお前!こっちだよ、こっち!」

突然足元から声がした。
下を見ると、色違いのイーブイが1匹こちらを見上げている。
その姿には見覚えがあった。

「あんた、大罪のあいつらと一緒にいた奴か……?」

イーブイは足元にゆっくり座り、気だるそうに頷いた。

「ほお、意外と馬鹿じゃねえみたいだな。
それから俺にはブイオって名前があるんだ」

美徳の魔法少女にも、ルーチェと名乗るイーブイが付いている。
おそらく大罪の魔法少女には、彼が付いているのだろう。
それにしても、どうして今頃自分の元へ?

「なんで俺が?っつー顔してんな。
お前は美徳の魔法少女、俺は大罪の案内役だ。後は分かるだろ」
「もしかして、俺を大罪の魔法少女に誘うためか?」
「んー、それはちょっと違うなあ。お前、自分の鍵見てみろ」
「鍵?」

手探りで、首にかけていた鍵を取り出す。
暗闇でも鍵の形は不思議なほどはっきりと見えた。
ただ、その色は最後に見た時の姿とは違った。

(……黒くなってる)

「ほらな?誘うも何も、今のお前はこっちに来るしかねえんだよ」

あいつへの恨みが、鍵をここまで落としていたのか。
少し前ならショックだったかもしれないが、今は何も感じなかった。
当然か、という諦めすらあった。

「お前、忍耐の魔法少女だったよな?
今まで必死に耐えてきて、待ち続けて。よく頑張ったじゃねえか」

確かにずっと待ち続けた。
どんどん荒れていくあいつを友達だと信じて、
いつか戻ってくると思ってどんな仕打ちも堪えてきた。
でもあいつは戻ってこなかった。それどころか俺を見捨てて逃げた。

「なあ、他人のために我慢するのなんてやめて、
そろそろ自分のために生きたらどうだ?楽になれるぞ」

(……今さら何を言ってるんだ)

ブイオのいう事も正しい、と思う。
でも今は他人の問題に首を突っ込むつもりはない。
生きるだけで手一杯なのに、魔法少女として何ができるっていうんだ?
それを知ったうえでわざわざ誘いに来たっていうのか?

そんなことを考えながら俺が黙っていると、ブイオは苛立たしく尻尾を揺らした。

「あーもう、ここまで言わねえとわかんねえのか?いいか、お前もう死ぬんだよ」

何いってんだこいつ。
死ぬより苦しいんじゃないか、と思うほど痛い思いをしたのは確かだが、
俺はまだ生きてる。というかここにいる。

「いいか、1度しか言わねえぞ。お前の心だけは鍵がまだここに繋ぎとめてる。
でも身体の方は別の場所だ。もうじき死ぬ」
「ちょ、ちょっと待てよ!いきなりそんなこと言われたって信じられるわけないだろ!?」
「じゃあなんで痛くないと思う?なんで自分の姿が見えないと思う?」

言われて初めて気づいた。
ブイオも、鍵もはっきりと見えている。なのに自分の姿は何も見えない。
最初は真っ暗なせいだと思っていたが、
鍵を掴んでいるはずの手すら全く見えないなんて。

「ま、こっちに来るんなら助けてやってもいいけどよ。
どうもお前の鍵はお前を生かしたいらしいしな」

投げやりになっていた頭を必死に動かして、考えをめぐらせた。
こいつのいう事を信じるなら、このままだと俺は死ぬ。
だがそれが全て事実だという保証はない。

(それでも、これ以上事態が悪くなることなんてないか)

苦しんで生きるぐらいなら、いっそ死にたいと思ったことも事実だ。
でも、あいつは楽して生き続けることになる。

「分かった。正直そっちの事情はどうでもいいけど、生きられるんなら協力する」
「それはお互い様だ。俺だってお前の事情なんざ興味ねえ。
でもよ、それでこっちの戦力が増えるんなら大歓迎ってわけだ」

ずいぶん軽いな、と言いかけたがそれは俺も同じことだ。
それにまだ生きられるとわかった今、
あいつを許せないという強い思いが湧き上がってきた。
あの馬鹿を信じたせいで、命も何もかも失ってしまった。
いずれ、同じところまで落としてやる。

「ついてこい。今のお前なら闇の国に入れる」

そういうとブイオは立ち上がり、歩きはじめた。

俺も手段を選ばずに生きればいい。
他人のためじゃなく、自分勝手に。
……大罪の魔法少女になるってことは、つまりそういう事なんだ。

「そういや、名前聞いてなかったな。一応聞いとくか」
「俺はシイナ。……シイナ・ディマイズ」
「ディマイズ、か。良い名前だな」

何故か本当の名前が出てこなかった。
昔の俺を捨てるため?いつかあいつに会った時に騙すため?
ただブイオはそれ以上何も言わなかった。

書きたい要素がありすぎてまとまらなかった。
生前の描写と大罪に誘うブイオが書きたかった。
ちなみにNPCキャラクターの口調や性格は各参加者さんの想像にお任せしたいので、
設定付箋には細かいことは何も書いていません。
ブイオの口調も個人的なイメージです。生意気な悪ガキっぽい感じ。
demise[dɪ'maɪz] 死亡.死去,終焉
PR

この記事へのコメント

Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ閲覧できます
 

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新記事

プロフィール

HN:
千草はる
性別:
女性
自己紹介:
名前の読みはちぐさ はる。
読みづらい上変換しづらいので
好きなように呼んでください。
何かありましたらpurindayo_9○yahoo.co.jpまで
ご連絡くださると幸いです。

スカイプID:hal_strb
Wi-Fi始めました(別窓)
twitterも始めました
Copyright ©  -- 穴の空いたくつした --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Photo by Didi01 / Powered by [PR]

 / 忍者ブログ