穴の空いたくつした
ポケモン擬人化企画用のブログ。
闇堕ちの話
- 2013/08/26 (Mon)
- ブイグエラ関連 |
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シイナが闇落ちしたときの話。少し過去設定絡みます。
また緩めですが痛い描写が混じってます。ご注意ください。
NPCキャラクター借りてます。
また緩めですが痛い描写が混じってます。ご注意ください。
NPCキャラクター借りてます。
痛い。熱い。
口を開けるとまだ喉の奥が焼けるような錯覚を起こす。
こんなに酷い状態で、どうしてまだ生きているんだろう。
あれから何日経ったんだろう。
まだ数時間かもしれない、あるいはもう何週間も過ぎていて
あいつはとっくに退院したのかもしれない。
目の前で揺らめく赤色越しに、あいつが真っ先に逃げるのがはっきりと見えた。
後ろ姿もわめく声も一生忘れない。
努力して耐えてきた俺は報われず、傲慢で自分勝手なあいつは楽して生き続ける。
許せない。でも、今はどうにもできない。
相変わらず痛みは激しく動けないほどだったが、ゆるやかに眠気がやってきた。
眠ることで少しでも現実から逃げられるのなら、と目を閉じた。
***
次に目が覚めると、真っ暗な中に立っていた。
自分の姿も見えないから、はたして本当に立っているのかどうかも定かではない。
不思議と痛みや苦しさはなかった。
「おい、そこのお前!こっちだよ、こっち!」
突然足元から声がした。
下を見ると、色違いのイーブイが1匹こちらを見上げている。
その姿には見覚えがあった。
「あんた、大罪のあいつらと一緒にいた奴か……?」
イーブイは足元にゆっくり座り、気だるそうに頷いた。
「ほお、意外と馬鹿じゃねえみたいだな。
それから俺にはブイオって名前があるんだ」
美徳の魔法少女にも、ルーチェと名乗るイーブイが付いている。
おそらく大罪の魔法少女には、彼が付いているのだろう。
それにしても、どうして今頃自分の元へ?
「なんで俺が?っつー顔してんな。
お前は美徳の魔法少女、俺は大罪の案内役だ。後は分かるだろ」
「もしかして、俺を大罪の魔法少女に誘うためか?」
「んー、それはちょっと違うなあ。お前、自分の鍵見てみろ」
「鍵?」
手探りで、首にかけていた鍵を取り出す。
暗闇でも鍵の形は不思議なほどはっきりと見えた。
ただ、その色は最後に見た時の姿とは違った。
(……黒くなってる)
「ほらな?誘うも何も、今のお前はこっちに来るしかねえんだよ」
あいつへの恨みが、鍵をここまで落としていたのか。
少し前ならショックだったかもしれないが、今は何も感じなかった。
当然か、という諦めすらあった。
「お前、忍耐の魔法少女だったよな?
今まで必死に耐えてきて、待ち続けて。よく頑張ったじゃねえか」
確かにずっと待ち続けた。
どんどん荒れていくあいつを友達だと信じて、
いつか戻ってくると思ってどんな仕打ちも堪えてきた。
でもあいつは戻ってこなかった。それどころか俺を見捨てて逃げた。
「なあ、他人のために我慢するのなんてやめて、
そろそろ自分のために生きたらどうだ?楽になれるぞ」
(……今さら何を言ってるんだ)
ブイオのいう事も正しい、と思う。
でも今は他人の問題に首を突っ込むつもりはない。
生きるだけで手一杯なのに、魔法少女として何ができるっていうんだ?
それを知ったうえでわざわざ誘いに来たっていうのか?
そんなことを考えながら俺が黙っていると、ブイオは苛立たしく尻尾を揺らした。
「あーもう、ここまで言わねえとわかんねえのか?いいか、お前もう死ぬんだよ」
何いってんだこいつ。
死ぬより苦しいんじゃないか、と思うほど痛い思いをしたのは確かだが、
俺はまだ生きてる。というかここにいる。
「いいか、1度しか言わねえぞ。お前の心だけは鍵がまだここに繋ぎとめてる。
でも身体の方は別の場所だ。もうじき死ぬ」
「ちょ、ちょっと待てよ!いきなりそんなこと言われたって信じられるわけないだろ!?」
「じゃあなんで痛くないと思う?なんで自分の姿が見えないと思う?」
言われて初めて気づいた。
ブイオも、鍵もはっきりと見えている。なのに自分の姿は何も見えない。
最初は真っ暗なせいだと思っていたが、
鍵を掴んでいるはずの手すら全く見えないなんて。
「ま、こっちに来るんなら助けてやってもいいけどよ。
どうもお前の鍵はお前を生かしたいらしいしな」
投げやりになっていた頭を必死に動かして、考えをめぐらせた。
こいつのいう事を信じるなら、このままだと俺は死ぬ。
だがそれが全て事実だという保証はない。
(それでも、これ以上事態が悪くなることなんてないか)
苦しんで生きるぐらいなら、いっそ死にたいと思ったことも事実だ。
でも、あいつは楽して生き続けることになる。
「分かった。正直そっちの事情はどうでもいいけど、生きられるんなら協力する」
「それはお互い様だ。俺だってお前の事情なんざ興味ねえ。
でもよ、それでこっちの戦力が増えるんなら大歓迎ってわけだ」
ずいぶん軽いな、と言いかけたがそれは俺も同じことだ。
それにまだ生きられるとわかった今、
あいつを許せないという強い思いが湧き上がってきた。
あの馬鹿を信じたせいで、命も何もかも失ってしまった。
いずれ、同じところまで落としてやる。
「ついてこい。今のお前なら闇の国に入れる」
そういうとブイオは立ち上がり、歩きはじめた。
俺も手段を選ばずに生きればいい。
他人のためじゃなく、自分勝手に。
……大罪の魔法少女になるってことは、つまりそういう事なんだ。
「そういや、名前聞いてなかったな。一応聞いとくか」
「俺はシイナ。……シイナ・ディマイズ」
「ディマイズ、か。良い名前だな」
何故か本当の名前が出てこなかった。
昔の俺を捨てるため?いつかあいつに会った時に騙すため?
ただブイオはそれ以上何も言わなかった。
書きたい要素がありすぎてまとまらなかった。
生前の描写と大罪に誘うブイオが書きたかった。
ちなみにNPCキャラクターの口調や性格は各参加者さんの想像にお任せしたいので、
設定付箋には細かいことは何も書いていません。
ブイオの口調も個人的なイメージです。生意気な悪ガキっぽい感じ。
demise[dɪ'maɪz] 死亡.死去,終焉
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