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穴の空いたくつした

ポケモン擬人化企画用のブログ。

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手紙越しだから言えること

クリスマス前の小話。
かなり突貫工事だったので細かいところがおかしいかもしれません。すみません。

お名前は出てませんがキュベレー君お借りしました!
いちおうBL注意です。


今年も終わりに近づいたある冬の日。
虹の谷にも冷たい風が吹き抜ける。
街角に暖かい光を灯した少女が一人。

「もう日も暮れちゃったかな」

いつもと変わらない空を見上げて呟く。
ここからでは太陽がどこにあるか見えないが、
もう国の外でも暗くなる頃だろう。
そろそろ帰ろうかとマフラーを巻きなおし、ふとその先を見つめる。
ふわふわ手編みのマフラーと、贈り主の顔。
そういえばもうすぐクリスマスだ。

「プレゼント…どうしよう」

以前のバレンタインデーにはきちんと渡せず、恥ずかしい思いをしてしまったけれど。
あれから少しは慣れたつもりだし、伝えたいことだってたくさんある。
ちゃんと手渡せるよう、頑張ってみようかな。

「でも、何をあげたら喜んでくれるかな?」

とりあえず、帰りにちょっとお店に寄っていこうか。

*

なるべく寄り道してあちこちのお店を覗いてみたが、なかなか良いものが見つからない。
考えながらと家に帰ると、窓に封筒が挟まっていた。
引き抜いて、中に入っていた便箋を開く。

――お元気ですか?
寒くなって、マッチ売りの仕事も大変そうだね。
でもマッチを配る君はとても暖かそうに見えます――

ああ、彼からの手紙だ。
アンブラと名乗る彼からの最初に来たのはひと月以上前のこと。
何故かルクスのことをよく知っていて、
時に心配してくれたり、時に励ましてくれた。
きっと男の自分と会うのは嫌だろうからと手紙だけでのやりとりが続いているが、
丁寧な文面からは穏やかで優しそうな人柄を伺えた。

(そうだ、アンブラに相談してみようかな)

他の人に話すのは恥ずかしいけど、顔が見えない手紙でなら言えるもの。
さっそくそばのランプに灯りをともすと、ペンを取った。

『お手紙ありがとう。
この季節に街角で立ってるのは寒いけど、
みんなに明るさと暖かさを配るためにも頑張らなきゃ。
ところで、実はあなたに相談したいことがあるの…』

細かいことは伏せて、友達に贈るプレゼントが決まらないこと、
彼ともっと仲良くなりたいことを書いた。
アンブラにも何かあげられたらいいな、など思いながらペンを置く。
もう一度読み返し、間違ったところがないか確認して封筒に入れる。
窓に挟んでおくといつの間にかなくなっていて、
さらに2,3日すると返事が挟まっている。
それが2人のちょっと変わった文通だった。

*

それから数日が過ぎた夕方、
いつものようにマッチ売りの仕事から帰ってくると返事が来ていた。

――プレゼントに悩む気持ち、わかるような気がします。
その人はきっと大切な友達なんだね。
君がそれだけ悩んで選んだものなら、
きっとどんなものでも喜んでもらえると思う。
僕の意見が役に立つかわからないけど、1つだけ。
例えば、その気持ちを形にしてしまうのはどうだろう。
よくある事しか言えないけど、手作りのプレゼントに
自分の気持ちを込めるとか。
あるいは手紙にしてしまうのもいいんじゃないかな。
いつもありがとうとか、君がその人のことをどう思ってるとか、
そんなに難しい事じゃなくてもいい。
君の手紙はいつも文字に感情がこもっていて、
読んでいると暖かい気持ちなる。――

手紙を書くなんてできない、と真っ先に思った。
他愛もないことを話すだけで精いっぱいなのに、
ありがとうなんて到底言えない。

でも、便箋をもう一度読み返す。
顔も知らない男性にこんなことが言えたんだ。

(アンブラには相談できたんだもの、言えるかもしれない)

ためらった後、2枚の便箋を取り出した。
1枚にはアンブラへのお礼を書き綴り、
もう1枚には彼への宛名を書く。

『改めてお手紙なんて、なんだか恥ずかしいね。
いつもはちゃんと言えないことも、手紙だったら言えるような気がするの。
あなたと一緒にいるとすごく楽しいのに、どうしても緊張しちゃうの。
でも、本当はもっといろんなことを聞いてみたい。
いつも声をかけてくれるのが楽しみなの。
だから、いつもありがとう。
これからも、もっと仲良くなれればいいな』

結局、これだけ書くのが精いっぱいだった。
一番大事なことは言えずじまいだったが、それでもいいと思った。
いつか、自分の気持ちを言える時が来るかもしれないし、
来ないまま終わってしまうかもしれない。
でもそれは、その時に考えればいい。
今はこれが自分にできる最大のことだ。

「さて…プレゼント、何を作ろうかな?」

今までたくさんのものを貰ったんだもの、中途半端なものは出来ないと
自分に気合を入れ直す。
たくさんのありがとうと、ほんの少しの想いを込めて。



ちょっとだけかなめちゃんのWDの話に便乗させていただきました。

本当はもうちょっと続ける予定だったけど、
途中で恥ずかしさのあまり投げてしまい
その後の展開を忘れてしまった・・・ごめんなさいorz
あとは今後のためにも個人的な伏線をもそもそ書いておきたかった。
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